Gmail 送信者ガイドライン変更の影響と対応について

2024.1.31

2024年2月1日から Gmail のメール送信者ガイドラインが変更になり、迷惑メールへの対策が強化されます。この変更により、メールの送信者がガイドラインを満たしていない場合、送信メールが迷惑メールに振り分けられる可能性が高まります。

また米国 Yahoo!(Yahoo! Japan ではありません)も2024年4月以降、同様にガイドラインを変更することを発表しています。

Google – メール送信者のガイドライン
https://support.google.com/mail/answer/81126

詳細は上記ガイドラインをご確認ください。ここでは、かいつまんでポイントのみご説明します(2024年1月30日時点の情報に基づいており、今後 Google 側のガイドライン変更により変わる可能性がございます)。

目次

■ ガイドラインを守らないとどうなる?

Gmail 宛に 1日 5,000通以上送信するとメールが届かなくなる可能性が高まります。

Gmail 宛とは

末尾が @gmail.com または @googlemail.com の個人用アカウントを指します。Google Workspace の企業アカウントなどは対象外です。

1日 5,000通以上とは

  • 過去24時間以内に
  • 同じドメインから
  • Gmail 宛に 5,000通以上送ると
  • 大量送信者として認識されます

例)下記はいずれも 5,000 通のカウントとなります。

  • abc@example.com から 5,000人の Gmail アドレス宛に送信
  • abc@example.com と def@example.com から合わせて 5,000人の Gmail アドレス宛に送信
  • abc@123.example.com と def@456.example.com から合わせて 10人の Gmail アドレス宛に 500通ずつ送信
  • 5,000人の @example.com アカウントからそれぞれ別々の Gmail アドレス宛に 1通ずつ送信

1日 5,000通以上送ったときだけ問題がある?

  • 一度でも Gmail 宛に 1日 5,000通以上送信すると、以降はずっと「大量送信者」となる
  • そうなると 1日 5,000通以下でも正常に届かない可能性が高まる

届かなくなるとは

送信したメールが拒否されたり、迷惑メールフォルダに振り分けられる可能性が高まります。

ただし、2024年2月1日よりガイドライン変更が適用されるものの、いきなり拒否されるわけではありません。段階を踏んで厳しくなっていきます。

2024年2月以降

ガイドラインを守れていないごく一部の送信メールで、稀に一時的なエラーが返ってくる(届かない)ことがあります。一時的なので、再送すれば届くものと思われます。

送信者がガイドラインを守れていないことをエラーによって気づき、守れるよう対策してもらうことが Google の目的です。

2024年4月以降

ガイドラインを守れていないメールの拒否率を徐々に上げていく予定だと Google は発表しています。この頃にはガイドラインに準拠するよう対策を済ませておく必要があります。

■ 正しくメールを届けるには

Google の提示するガイドラインに準拠することで、迷惑メールに振り分けられたり拒否されたりせず、正しくメールを届けることができます。

ガイドラインの要件

1日 5,000通以上送ったことのある送信者(以降、大量送信者)とそうでない送信者で要件が異なります。

その中でポイントとなる SPF・ DKIM・DMARC について、まず整理します(参考:補足 – SPF・DKIM・DMARC とは)。

大量送信者

  • SPF レコードおよび DKIM(電子署名)を設定
  • 送信ドメインに DMARC を設定
  • DMARC アライメントの合格

大量送信者以外

  • SPF レコードまたは DKIM(電子署名)を設定

他の要件については後述の「補足 – SPF・DKIM・DMARC 以外のガイドライン要件」に記載しています。

■ Re:lation をご利用のみなさまへ

Outlook などのメーラーからの送信でも同じ対策が必要ですが、Re:lation のご利用上で関わるところをピックアップします。

Gmail 宛 1日5,000通のカウント方法

Re:lation からの送信数だけではありません

1日に5,000通のカウントは、Re:lation から送信したものも、その他のメーラーやご利用の各種サービス(カートシステム、メルマガ配信システムなど)から送信したものも合算になります。これらの合計で Gmail 宛 1日 5,000件を超える場合は「大量送信者」となり、ガイドラインの要件が厳しくなります。

メール送信方法の種類

Re:lation でのメール送信方法には2種類あります。

  • 通常のメール送信
    「メール作成」より行うメール送信です。お客様が設定したメール送信サーバより送信します。
  • 一斉配信+(プラス)
    「一斉メール作成」より行うメール送信です。ご利用には一斉配信+オプションのご契約が必要です。

通常のメール送信での対応

Re:lationのご利用に関係なく、お使いのメール送信サーバはお客様にご用意いただいておりますので、下記はお客様側での対応が必要となります。

大量送信者の場合

下記 3つとも対応が必要です。

  • SPF レコードを設定
    → 送信元メールアドレスのドメインを管理している DNS サーバの設定をご確認ください。
  • DKIM(電子署名)を設定
    → DNS サーバ、メール送信サーバの設定をご確認ください。
  • DMARC を設定
    → DNS サーバの設定をご確認ください。

大量送信者以外の場合

  • SPF レコードを設定
    → 送信元メールアドレスのドメインを管理している DNS サーバの設定をご確認ください。

一斉配信+(プラス)での対応

一斉配信+オプションでは、Re:lation が管理する一斉メール配信専用サーバからメール送信を実施しております。送信元メールアドレスのドメインと一斉メール配信専用サーバのドメインが異なるため、通常のメール送信とは違った対応が必要になります。

大量送信者の場合

下記 4つとも対応が必要です。

  • SPF レコードを設定
    → 送信元メールアドレスのドメインを管理している DNS サーバに、SPF レコードを設定してください。内容は契約時にお伝えします。
  • DKIM(電子署名)を設定
    → DKIM 設定オプションのお申し込みが必要となります。お申込み後にお渡しする DKIM 作成者署名の公開鍵を DNS サーバに設定してください。
  • DMARC を設定
    → DNS サーバの設定をご確認ください。
  • DMARC アライメントの合格
    → SPF レコード・DKIM 作成者署名・DMARC を DNS サーバにご設定いただくことでアライメントは合格となります。

大量送信者以外の場合

  • SPF レコードを設定(必須)
    → 送信元メールアドレスのドメインを管理している DNS サーバに、SPF レコードを設定してください。内容は契約時にお伝えします。
  • DKIM(電子署名)を設定(任意)
    → DKIM 設定オプションのお申し込みをいただければ DKIM 作成者署名を設定できます(任意です)。お申込み後にお渡しする DKIM 作成者署名の公開鍵を DNS サーバに設定してください。
  • DMARC を設定(任意)
    → DNS サーバの設定をご確認ください。上記 DKIM(任意)を設定しない場合は、後述の DMARC アライメントが不合格となりますので、DMARC ポリシーを none に設定してください。
  • DMARC アライメントの合格(任意)
    → SPF レコード・DKIM 作成者署名・DMARC が揃わないと DMARC アライメントに合格できません。ただし、DMARC ポリシーを none に設定しておけば迷惑メールに振り分けられたり拒否されたりすることはありません。

■ まとめ

  • 2024年2月以降、Gmail のガイドライン要件を満たさない場合に、Gmail 宛の送信メールが届かない可能性が出てきます
  • Gmail 宛に 1日 5,000 通以上送ったことがあると「大量送信者」とみなされます
  • 大量送信者となるとガイドラインの要件が厳しくなります
  • 大量送信者でなくても守るべき要件があります
  • ガイドライン要件を満たせば、Re:lation からのメール送信で問題は発生しません

■ 補足

SPF・DKIM・DMARC とは

これらは送信したメールが迷惑メールでないことを検証するための仕組みです(送信ドメイン認証と呼ばれます)。

メールを送信する際の送信元メールアドレス(From)は容易に詐称することができるため、第三者がなりすまして迷惑メールやフィッシングメールを送信する行為が多々あります。その対策として送信ドメイン認証が利用されます。

SPF・DKIM・DMARC はそれぞれ役割が異なり、組み合わせて利用します。

SPF とは

Sender Policy Framework の略で、メールの送信元 IP アドレスを検証する仕組みです。

あらかじめ送信元メールアドレスのドメイン管理者が、利用する送信メールサーバの IP アドレス(SPF レコード)を DNS サーバに登録しておきます。登録していない IP アドレスのメール送信サーバからメールが送信されてきた = なりすましメールだと判断します。

メール受信サーバが送信元メールドメインの DNS サーバに問い合わせ、SPF レコードを確認します。

設定箇所

  • DNS サーバに SPF レコードを設定

DKIM とは

DomainKeys Identified Mail の略で、電子署名を利用してメールが改ざんされていないことを検証する仕組みです。

メール送信サーバで秘密鍵を利用して電子署名したメールを送信します。メール受信サーバは電子署名に記載されたドメインの DNS サーバに問い合わせ、取得した公開鍵で電子署名を検証します。

設定箇所

  • メール送信サーバに DKIM 秘密鍵を設定
  • DNS サーバに DKIM 公開鍵を設定

DMARC とは

Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance の略で、SPF・DKIM と組み合わせて利用します。SPF・DKIM の認証結果をもとに総合的な認証成功・失敗を判断します。そして認証に失敗した受信メールをどう扱うか、送信者のポリシーを示すのが DMARC の目的です。

メール受信サーバは送信元メールドメインの DNS サーバに問い合わせ、参照したポリシーに従ってメールを隔離(迷惑メール振り分け)・受信拒否・何もしない(認証に失敗していても受信する)のいずれかを決定します。

設定箇所

  • DNS サーバに DMARC ポリシーを設定

SPF・DKIM・DMARC 以外のガイドライン要件

SPF・DKIM・DMARC 以外にも Google の要件はあります。詳細は Google のサイトをご確認ください。

ここではポイントのみ記載いたします。

Internet Message Format 標準に準拠するメール形式で配信

→ Re:lation は標準に準拠しております。

送信元のドメインまたは IP アドレスに有効な正引きおよび逆引き DNS レコード(PTR レコード)があることを確認

→ ご利用の DNS サーバの設定をご確認ください。一斉配信+のメール配信専用サーバは対応しております。

メール送信に TLS 接続を使用

→ メール送信サーバの設定をご確認ください。一斉配信+のメール配信専用サーバは対応しております。

迷惑メール率を 0.3% 未満に維持

→ Google の提供する Postmaster Tools を利用してご確認ください(Postmaster Tools を使ってみる)。

Gmail の From ヘッダになりすまさない

→ Gmail 以外の送信サーバを使って From: 〜@gmail.com といった Gmail アドレスになりすまして送信しないでください。

メールを定期的に転送する場合は ARC ヘッダと List-id ヘッダを追加

→ メール転送などのサービスをご利用の場合は、該当サービスの仕様をご確認ください。

ワンクリック購読解除とメール本文内に購読解除 URL を記載

→ 大量送信者でマーケティング目的メールを送るときのみ、この要件に該当します。Re:lation ではワンクリック購読解除には対応しておりません。また、購読者管理機能はございませんので、購読解除 URL はお客様でご用意ください。

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